続・危険なキス
 
「奏人っ……ずるいっ……」

「何が?」


ポロポロと涙をこぼすあたしに、奏人はただ笑って涙をぬぐう。

道行く人が、みんなあたしたちをチラ見していく。



「あたしに直接言わないでっ……」

「……言えるかよ…」

「なんでっ……」



目を逸らして突き放す奏人の腕を掴んだ。

その瞬間、奏人の顔があたしの耳元に近づき……





「本物の言葉を言う日まで

 お前には言ってやらない」






ぞくりとするほどの低い声で

翻弄する言葉をささやいた。
 
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