続・危険なキス










「ただいま」
「あ、おかえり」



夜の7時過ぎ。

奏人が帰ってきた。


基本、奏人はいつもこの時間に帰ってくる。
だから合わせて作っておいた夕ご飯を、テーブルの上に並べていった。


「腹減った」
「ちょうどできたよ」
「ん」


スーツの上着を脱いで、ネクタイを外している。

ベタだけど、この瞬間は本当にカッコイイと思う。

思わず手を止めて、その姿を見つめていると、



「何、見とれてんの?」



それがバレて、ニヤッと笑われた。


「べ、つに……見とれてなんかっ……」

「へー?」


ご丁寧に、奏人はこっちに寄ってきて、眼鏡越しにあたしを見据えた。
 
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