続・危険なキス
とはいえ、閉店まであと30分。
店内にも、数人のお客さんしかいなくて、あたしがすることは何もない。
そう思っている矢先だった。
自動ドアが開き、咄嗟に営業スマイルを向けた。
「いらっしゃ……」
「……」
「せ、先生っ……」
そこに現れたのは、まさかの湯浅先生で、営業スマイルが一変して驚きの表情に変わる。
先生は面白そうに微笑むと、すぐにあたしの目の前まで来た。
「な、何しに来たんですかっ……」
「紫乃の仕事っぷりを見に」
「やめてくださいよっ……」
一応、周りにお客さんがいることから、こそこそと小さい声で反論する。
だけどここまで来て、引き返す先生ではない。
「エスプレッソ。ホットで」
「え……」
「俺、客だから」
「……」
それを言われては、何も言い返せない。
あたしは仕方なしに、その注文を受けることにした。