続・危険なキス
 
「350円です」
「ん」


お金を受け取る前に、コーヒーをカップに注ぐ。

あつあつのコーヒーを先生の前に差し出すと、さっさと会計を済ませた。


「10時までだっけ?」
「え?」
「仕事終わんの」
「はい……」
「店の裏に車停めてるから」
「……送ってくれるんですか?」
「それ以外何があるんだよ」
「いえ……」


眉をしかめて突っ込んでくる先生に、隠し切れないにやけた表情で返した。


あたしが閉店時間までバイトが入っているのは、極稀。

普段は8時くらいまでが多い。


今日が遅くまでバイトだってことは、日常会話で先生に前もって話していたことで……


もしかして、あたしの仕事っぷりを見に来たってのは言い訳で、最初から送ってくれるつもりで来てくれたのかもしれない。



「にやけすぎ」

「……ほっといてください」



ポーカーフェイスが崩れているあたしを、先生は呆れ気味で突っ込んで奥の席についた。
 
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