続・危険なキス
 
あたしから見ると、美香さんは確かにドジなところはあるけど、可愛げがあって男の人が放っておかなそうなイメージ。


「私さ。
 続かないんだ」


少しだけトーンを落として、美香さんが口を開いた。

いつものキャピキャピしたような声じゃない。


「忘れられない人がいて」

「忘れられない人、ですか……」

「そう。初恋の人なんだけどね」


パタンとロッカーをしめて、苦笑交じりで振り向いた。


「初めて付き合った人なんだけど、彼、すごいモテる人で、周りの女子の妬みとか受けて……
 それでも好きだから耐えてたんだけど、ついに自分の中で爆発しちゃって……。


 一番最悪な形で、彼を傷つけちゃったの」


その傷つけ方までは、美香さんの口からは話されなかった。

あたしも、そんな簡単に突っ込んでいいものではないと思ったから、何も返さない。



「まだ、引きずってるんだと思う。

 もう10年近く経つのにね」



美香さんは「あはは」と笑った。
 
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