続・危険なキス
「覚えて、ます……」
「紫乃ちゃん」
少し弱気になってしまったあたしに、美香さんは一歩前に出た。
「お願いっ……。
私に、奏人くんと話すチャンスを与えてくれないかなっ……」
じっと目を見つめ、一生のお願いというようなうるんだ瞳。
あたしよりもずっと背の低い美香さんは、自然とあたしを見上げる形になった。
「こんなこと、奏人くんの彼女に言うのはおかしい、って分かってる。
でもっ……こんなんじゃ、私もいつまでも前に進めないから……」
美香さんの言いたいことは分かってる。
だけどここで、あたしは「はい」と答えるほど、お人よしになっていいものなのだろうか。
「あ、だけど誤解しないでっ……。
会うチャンスって言っても、よりを戻したいとかそういうんじゃないの。
ただあの時、あんな馬鹿なマネをしてしまった自分を謝りたくて……。
奏人くんに、心の傷をつくってしまっていたんなら、ちゃんとお詫びをしたいの」
それを聞いて、ハッとした。