続・危険なキス
 
「タイミング悪すぎ。
 誰だよ、こんな時に……」

「学校で、こんなことするなっていうお告げですよ。
 きっと」


ネクタイを締め、メガネをかけ直す先生。

一瞬にして、仮面をかぶった湯浅先生に戻った。



「紫乃」


だけどあたしを呼ぶその声は、まだまだあたしの知っている先生で……



「大丈夫だから安心しろ」


「……はい」



優しく語るその言葉は
あたしを安心させるのに十分だった。




【大丈夫】


自分で言い聞かせるより、先生からの言葉のほうが何百倍も効果があると知った。
 
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