続・危険なキス
その言葉を言われた瞬間、
ドアノブに手をかけようとした手が止まった。
「え……?」
何を言われたのか理解出来なくて
目を見開いたまま、美香さんへ振り返る。
美香さんは真剣な眼差しをあたしに向けていた。
「……言うつもり…なかったけど……
奏人くんに会ったら、想いが爆発しちゃいそうな気がして……」
「……」
「だから先に紫乃ちゃんに断っておく……」
少し泣きそうな顔をしてあたしを見つめる紫乃さんは、決して悪気があってとか、あたしにたいして宣戦布告という意味で言ったんじゃない。
正直に思ったことを、あたしに伝えただけ。
「紫乃ちゃん……
自分勝手でごめんね」
先に謝られてしまった以上、あたしは言い返すことはできなくて
結局何も反論出来ないまま店内へと向かった。