続・危険なキス
 
二人の姿が見えた瞬間、
歩み寄っていたあたしの足が凍りついたように動かなくなる。


あたしがいつも、強引におさめられていた腕の中には
あたしではない別の人が抱き着いていて……



「俺も……

 お前を忘れたこと、なかった……」



驚くほど優しい声を出すその言葉は
あたしに向けられたものではなかった。



「お前のことが好きだったよ。

 忘れるために、最低な男に成り下がるくらい……」



ドクン、ドクン……と
痛いくらいに心臓が大きく鳴り響く。


ズキン、ズキン……と
張り裂けそうなほど心が悲鳴を上げる。




う、そだ……
ちがう……

こんなの……聞き間違い……




「……っ」




あたしは、二人のもとから逃げ出した。
 
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