続・危険なキス
7章 逃げ
「おはよー!」
次の日、学校へ行くと、あたしとは正反対に明るい声が。
「麻衣子……。おはよ」
「ん?紫乃、何かあった?」
いつもと同じように返したつもりだけど、麻衣子がじっとあたしの顔を見つめる。
「何もないよ」と答えようと口を開けたけど、麻衣子が言葉を発するほうが先だった。
「目が赤い。ファンデで隠してるっぽいけど、瞼も腫れてるし」
「……」
さすが、女子力の高い麻衣子。
化粧でごまかしても、すぐに見破られてしまった。
「うん……ちょっと、ね……」
「もしかして、仮面教師に傷つけられた?」
「仮面教師って……」
「だって、紫乃がいつも言ってたじゃん」
あまりにもストレートに言ってくる麻衣子に、ちょっと笑えた。
確かに、つい最近まであたしは湯浅先生を、仮面をかぶったセクハラ教師と言ってた。
セクハラ系に関しては、麻衣子に話してなかったので、仮面だけが残ったらしい。
麻衣子も先生の本性を知っているので
他の女子生徒みたいに、きゃーきゃー騒ぐことはしなかった。