続・危険なキス

　
「ちょっと、さ……
　今はまだ、ごちゃごちゃして話せそうにない、や……。
　ごめんね」

「……そっか……」


心から心配そうに声をかけてくれたのに、ありのままの今の状況を麻衣子に話すのは辛すぎて
あたしは自分の心の中だけにしまった。


「あたしのことよりも、どう？
　最近の楠木は」

「んー……どうなんだろね。
　嫌われてはないと思うんだけど、相変わらず、あたしに誘われないと動いてくれない」

「そっか」


麻衣子は、あれからずっと楠木にアタックをかけている。

楠木も最初は戸惑いつつも、最近の二人を見る限りまんざらでもなさそうな感じで……。



「あたしも紫乃みたいに、クールな女になればいいのかな？」

「やめときな。似合わないから」

「だよねっ」



ははっと笑う麻衣子には、そんな太陽のような笑顔が似合う。

あたしみたいに、なんでも自分の中に閉じ込めちゃうような女になったって、きっといいことはない。