続・危険なキス
「それから……」
「…っ」
伏せていた目を上げたとき、一瞬先生と目が合った。
それだけで、心臓がドキンと高鳴る。
「1時間目の世界史ですが、先生が体調不良でお休みのようなので、自習プリントを配布するのでそちらをやってくださいとのことです」
だけど先生は、すぐにあたしから目を逸らして、連絡事項を続けていた。
教室で目が合ったって
すぐに逸らすのは当たり前だった。
それなのに、今逸らされたことに、胸に大きな衝撃を受けて
息が出来なくなるほど苦しい。
「学級委員さんは、1時間目が終わったらそのプリントを集めて、私のところまで持ってきてください」
「……はい」
仮面をかぶった先生との、一言だけのやりとり。
あたしは目を合わせることもせずに、ただ返事を返した。