続・危険なキス
トイレに寄ると言って、途中で戸谷くんと別れて
一人トイレの個室に入って、今渡されたメモを開いた。
【携帯、なんで出ない?】
甘い言葉でも、心配する言葉でもなんでもない。
今あたしに起こっている事実。
言えるわけない。
先生と話すのが怖くて、携帯を取り出すことも出来ないなんて。
きっと今、鞄の中で、あの携帯は充電も切れているだろう。
先生は何であたしに電話したのか……。
「大丈夫」と言ってくれたんだから、もう何もかも終わった、ということを話すため?
先生を信じたいのに、昨日見た光景がやっぱり頭の中から離れなくて
(お前のことが好きだったよ。
忘れるために、最低な男に成り下がるくらい……)
震える美香さんの肩に、添える先生の手が瞼の裏に焼き付いてる。