続・危険なキス
 
今日はほっとしたことに、美香さんのシフトは入っていない。

だから真実を聞かされることもなかったし、美香さんの顔を見て泣くこともしないで済んだ。



「お先失礼します」


まだ店内に残る人たちにぺこりとお辞儀をすると、あたしはお店を出た。



さむ……


3月に入ったばかりの今、寒さはまだまだ健在で
羽織るコートをぎゅっと抱きしめて息を吐いた。


いつもの変わらない気温のはずなのに、いつも以上に寒く感じる。


さっさと帰って、お風呂に入って寝てしまおう。

そう思って顔を上げると……




「……っ」




そこには、予想外の人物が立っていた。




二人も。

 
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