続・危険なキス
 
「お前、どうして連絡取れねぇんだよ」

「……」


何事もなかったかのように、ただあたしに詰め寄ってくる先生。


連絡が取れない?

取れないんじゃない。
取りたくないだけ。


近づいてくる先生に、じりっと後ずさると、目を合わせないよう俯いた。



「紫乃?」

「………こ、ないでください……」



絞り出された言葉は、可愛くない言葉。


本当は泣きじゃくって、先生にすがりたいのに
それすらも出来ない自分。


先生は歩みを止めると、眉をしかめてあたしを見た。



「聞きたく、ないです……」

「何が?」

「二人揃って……あたしに何を言いに来たんですか?」



先生の後ろで、気まずい顔をしている美香さん。


先生の心を取り戻してごめん、とでも言いたいのだろうか。
 
< 93 / 344 >

この作品をシェア

pagetop