続・危険なキス
 
あの日のように、ただがむしゃらに走って
一刻も早く、あの二人のもとから離れたかった。


いつの間にか、こんなにも先生を好きだったと気づかされ
先生が好きな人と幸せになってくれればいい、と思うほど、人間出来ていなかった。



ドンッ……!!

「…っ」



曲がり角をぶつかった瞬間、あたしの体は誰かに突進。

吹っ飛ぶことはしなかったけど、相手にかなりのダメージを与えてしまった。



「すみませ……」
「いえ、こちら………紫乃ちゃん?」
「川崎…さん……」


あたしがぶつかったのは、まさかの川崎さんで
お互いに目を見開いて驚いていた。


だけど川崎さんは、驚いていた目を細め、顔を覗き込む。


「もしかして紫乃ちゃん、泣いてた?」
「…っ」


暗がりの中、バレないと思っていたけどすぐにバレて、咄嗟に顔をそむけた。


「ち、ちがいますよ……。
 顔にぶつかったから、涙目になっちゃっただけ、で……」

「……ほんとに?」


いつものおちゃらけた雰囲気とは違う。

真面目な顔をして、じっとあたしの顔を見据えた。
 
< 95 / 344 >

この作品をシェア

pagetop