続・危険なキス
 
「本当に……大丈夫、ですから……」


これ以上、何も聞かれたくない。

あたしはぺこりと会釈だけして、川崎さんの傍から離れようとした。


その時……




「紫乃っ!!」


「……」




遠く向こうから、あたしの名を呼ぶ声。

その声に、体は勝手に反応し、歩みを進めようとした足が止まった。



「お前、勝手にいなくなるなよ」

「せん、せい……」



振り返った先にいたのは、息を切らした先生がいて
止まったはずの涙がじわりと浮かぶ。


「美香さんは……」
「あいつなら帰った」
「でも……」
「俺にとって、お前のほうが大事だから」
「……」


予想外の返しに、言葉を失ってしまう。


美香さんよりもあたしのほうが大事?

でも、先生は美香さんを……。
 
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