続・危険なキス
8章 誤解
 
川崎さんの言葉が、
静かな路地で響き渡った。


ボロボロに捨てられた俺の姉貴……


そこから連想するのは、あたしと付き合う前の先生の姿で……


(これで最後な。もうかかわんな)


初めて先生の本性を知った日。
必死にしがみつく女の人を、あっさりと振っていた先生。


「お前のせいで姉貴はっ……」

「川崎、さん……」


悔しそうに手のひらを握り締める川崎さんの手が、今にも先生に掴みかかりそうで
咄嗟に川崎さんの名前を呼んだ。

その声にハッとして、あたしへと振り返る。



「……もしかして…今は紫乃ちゃんを狙ってるわけ?」



低く、ドスの聞いた声。

先生は何も答えず、川崎さんを見返しているだけ。



「もう、お前の思い通りになんかさせないっ……」

「きゃっ……」



川崎さんは、あたしの手を掴むと、その場から連れ出そうとした。
 
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