今宵、真夜中の青を注いで
「窓越しなんかより綺麗だな」
空を見上げて呟いた言葉は静かな世界の空気を震わせ、響いて、そのまま消える。
それは昼間に友達や先生と交わす言葉達と変わらない筈なのに、何故か儚く感じた。
旅行でも行って特別じゃない限りは見ない夜の街は慣れない。
昼間する事と同じ事をしても、全然違って感じるから変な感じがする。
いつもより世界が緩やかに時を刻んでいるような感覚さえするから不思議だ。
そんな不思議な世界に溶け込むように、ゆっくり歩いた。
星を見上げながら歩いていると、少しずつ暗闇に目が慣れて行く。
暗闇にずっといると、瞳孔が開いて目が慣れるんだとテレビでやっていたなあと関係ない事を思いだした。
「それにしてもずっと見上げてた所為で首が痛い」
うーんと唸って首を回すとゴキゴキッと音が出る。
何処か寝転がって見られる場所があればいいのに。
そう思って、きょろきょろと見回す。