今宵、真夜中の青を注いで
「ふーん? まあ、いいけど。それで? あんたはどうして此処にいるわけ?」
どうしてと言われても、えっと、どう答えればいいんだろう。
星が綺麗だなあと思ってたらいつの間にか外散歩してました、なんて答えたら絶対馬鹿呼ばわりだよね。
今更になって自分でもなんて突飛な理由で飛び出して来たんだろうと思う。
「えーっと、夜の散歩をしようかと......」
「夜の散歩って0時過ぎてるのにか? って、それは俺にも言える事だな」
「そそ、そうだよ。なんで、夜久君は此処にいるの?」
我ながら酷い相槌だなあなんて心の中で嘲笑した。
自分の話を逸らす為にとはいえ、返し方が酷い。
言いにくいことを聞かれたからと言うのもあるけど、それ以上に普段滅多に話さない、顔の整った綺麗な人と話してるこの状況に緊張しているのだと思う。
その証拠に握りしめる掌に汗がじわりと滲んでいくのを感じる。