今宵、真夜中の青を注いで
そんなあたしの心境など露知らず、目の前の彼はと言うと、少しの沈黙の後口を開いた。
「俺が此処にいる理由はこれ」
そう言って目を向ける先には真夜中の黒に近い青に煌く光。
今日は晴れているからか、たくさん見えて綺麗だとさっきからあたしも見惚れていた星を、その真夜中の青の色をした目が捉えていた。
「星......?」
「そう、星。よく晴れた夜の日に、この丘で星空を観賞するんだよ」
「へえー、そうなんだ。確かにこの丘で見た方が綺麗だね」
「当たり前だろ。俺のお気に入りの場所だからな」
自慢げに笑う彼は学校で見る人とは別人に思えて目を見開く。
そんなあたしを見て、何を不満に思ったのか夜久君は不機嫌そうに口を開いた。
「なんだよ」
「......? なんだよって?」
意味が分からなくて、オウム返しのように聞けば、鋭く睨まれてしまう。
なんで怒られているんだろう。
あたし何かおかしな事言ったかな。