今宵、真夜中の青を注いで


頭の良くないあたしがどれだけ思考を巡らせてもその答えは見つからない。

視線が痛くて、鼓動を刻む音が少しずつ大きくなって、少しずつパニックに陥っていく感覚がした。

其処へ「おい」と一言声を掛けられ、弾かれたように言葉を紡いだ。


「ごめんなさい! 怒らせたみたいで、でも、あたしどうして怒られているのか分らなくて、理由も分からずに謝るなって思うかもしれないけど、えと、あの、ごめんなさい」


勢いで頭を下げたから夜久君の顔は見えない。

けど、きっと、いや絶対、怒った顔をしているんだろうと思うと見えなくてよかったとも思う。

暫しの沈黙が流れて、心臓に悪い。


「悪い。頭上げて」


申し訳なさそうな声が聞こえて、意味が分からなかった。

展開が掴めない。

なんでいきなり謝られたんだろうとか、あたしが何か悪い事したんじゃないのとか、色々な疑問が渦巻く。

でも、あたしのない頭じゃやっぱり答えは見つからなくて、ゆっくり顔を上げる。




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