今宵、真夜中の青を注いで


伺い見るようにおそるおそる夜久君を見ると、バツが悪そうな顔をしていた。


「驚いた顔、だったから。そんなに変なのかと思って、ほんとごめん」

「変!? え、なにが変なの? 夜久君なんかおかしなこと言ったっけ?」


意味が分からなくて首を傾げる。

すると、夜久君は驚いた顔をして、それからふわりと笑った。


「ん、なんでもない。兎に角、ごめんな」


正直意味が分からなかったけど、これ以上深く突っ込まない方がいいとなんとなく思った。

だから、小さく頷いて違う話題を振ってみる。


「夜久君は星が好きなの?」


そう聞けば、僅かばかり口角があがる。

いつも無表情な彼からは想像できない姿に思わず自分の口が緩むのが分かった。


「そ、昔から星見るのが好きなんだ」

「そうなんだ。じゃあ、星座とかも詳しいの?」

「嗚呼、結構分かると思う」

「ほんと? あたしにも教えて?」


笑顔でいいよと言ってくれた夜久君は南の空の方を見る。

それに倣うように空を見ると、先程一人で見ていた時と同じように赤や黄色、青っぽい星達がキラキラと光っていた。




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