今宵、真夜中の青を注いで
「機械の進歩って凄いよな。これ、星座早見表のアプリなんだよ」
そこには頭上に広がる星達と同じように画面いっぱいに星が広がっていた。
そのスマホを持ちあげて、オリオン座に焦点を合わせる。
「こうして知りたい星の前に持ってくと同じように映っている星も変わって、今俺達が見ている星空が画面に映るんだ。
これが話してたオリオン座。ちゃんと見えるだろ?」
掲げたスマホからはちゃんとオリオン座が映っていて、今教えて貰った身体の部分だけでなく、頭の部分の星も映っていた。
「へえー、こんなものまであるんだー」
「そうそう、星座の形とか覚えてない間はこれ見て確認しながら見ると良いかもな」
「そうだね。でも、今は星の先生いるから」
「星の先生?」
意味が分からないと言うような顔をする夜久君を見て、へへっと笑って大きく頷く。
「今なら夜久君が教えてくれるでしょ? だから、これなくてもだいじょーぶ」
「ははっ、なんだそれ」
夜久君はおかしそうに笑って「仕方ねえな」と言ってくれた。
「先生、天体観測についてよろしくお願いしまーす」
「はいはい、教えてやるかー」
真夜中の午前一時、星に見守られながらいつもと違う時間を彼と二人過ごした。