今宵、真夜中の青を注いで
赤い布に包まれた弁当を鞄から取り出す。
丁寧に布を外して出てきた二段弁当を開くと一段目には真っ白なご飯、二段目には赤や黄色、緑と色鮮やかなおかずが顔を覗かせる。
最初に昨日の夕飯の残り物であろう唐揚げを口に運んだ。
ゆっくり咀嚼して旨味が広がるのを味わう。
ん、美味しい。
「今日ずっと眠そうだけどどうかしたの?」
「うん、ちょっと寝不足で」
えへへと笑うと、「寝不足はお肌の大敵よ?」なんて言って楓はクスクス笑う。
「午後10時から午前2時はお肌のゴールデンタイム、だっけ?」
「そうそう。だから、ちゃんと寝なさいよー?」
楓は軽い調子で言うと、箸でつまんだミニトマトを口に放り投げた。
「はーい、気を付けまーす。あ、そうだ」
図書室で借りた本の貸し出し期限が今日だったのを思い出した。
もう少しで忘れるところだった。
危ない危ない。
ついでに本を返した後、この本の続刊も借りよう。