今宵、真夜中の青を注いで
「ご飯食べ終わったら図書室行きたいんだ」
「図書室?」
不思議そうに首を傾げる楓にうんと首を振って頷く。
「借りていた本が今日までなんだ。ついでにまた本も借りるんだけど、楓も行く?」
「なるほどね。暇だからついて行こうかな」
「じゃあ、決まりだね」
それから他愛もない話をしながらお弁当を食べた後、図書室へ向かった。
調べやすいように割り振られた棚の記号と睨めっこしながら、目当ての本を探す。
さっきまで借りていた本のシリーズのところを見つけて動きを止めた。
「......ない」
どうやら誰かが借りているらしい。
そこにあるはずの「2」と書いた巻数の本はなくて、「3」だけしかなかった。
ちょっぴり残念な気持ちに浸りつつも仕方ないと言い聞かせる。
時計の方を見て時間を確認すると、昼休みはまだ半分くらいの時間が残っていた。
さあ、図書室の用事はなくなってしまったわけだけど......。