今宵、真夜中の青を注いで
紙の香りが充満する図書室は結構好きだったりする。
正直言ってあたしには難しい本はさっぱり分かんないし、本がものすごく好きなわけじゃない。
でも、本を手にとって、開いた途端にふわりと香るあの香りは好き。
新書だと新しい紙の独特の香りがしたりして、とにかくなんか安心する。
だから一度来ると、帰りたくなっちゃうんだよね。
まだ、時間はあるし、他に良い本がないか探してもいいよね。
そう思うが早いか、他の棚の方に移動した。
ザーッと大体の本棚を巡った頃、天文と書かれたコーナーで立ち止まる。
星について書かれているらしい本のタイトルを見て無意識に手が伸びた。
パラパラとページを繰るとそこには昨日、夜久君が言っていたオリオン座の見つけ方も載っていて、少しテンションが上がるのが自分でも分かった。
「あ、碧海......」
ポツリと零れたような声が聞こえてその方向を反射的に見ると、固まった。