今宵、真夜中の青を注いで


「私早く本借りちゃって暇だったから雪穂のとこ行こうと思ったんだよねえ。そうしたらさあ? 学年一のイケメン君と仲睦まじそうに話してるじゃない。なんていいものを見てしまったのかしらー」


嗚呼、嫌な予感が当たってしまった。

思わず溜息が零れる。


「仲睦まじいなんてことないよ」

「嘘だー。すごく仲良さそうだったよ? 何時からそんな関係になったのさ。昨日まで夜久君苦手だって言ってなかったっけ? ねえねえ、お姉さんにも教えて頂戴よ」


完全に意地悪モードに入った楓はつんつんと顔を突いてくる。

今度はあたしがむーっとする番だ。

ああもう、噂好きはこれだからめんどくさい。

無視して教室へ戻ろうと歩きだす。

そんなあたしを楓は後ろから追いかける。


「ごめんって、ちょっと意地悪しすぎた。でもさ、雪穂が男子と話してるなんて珍しいからさ、気になっちゃうんだよー」




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