今宵、真夜中の青を注いで

恨みがましい目で楓を見るけれどそんなのどこ吹く風と言った楓は愉しそうに笑う。


「もうほんと、雪穂最高だわ。そういう行動力あるところ好きよ」

「どう考えても嫌味にしか聞こえないんだけど」

「そんなことないよ。でも、ふふふっ、おなかいたい」


何時までも笑っている楓なんて笑いすぎておなかが捩れてしまえばいいんだ。


「それにしても夜久君って星が好きだったんだね」

「うん、普段そんな素振り毛頭見せないから何にも興味ないのかと思ってたんだけど」

「そうね、ちょっと意外かも。雪穂に負けずロマンチストだったりしてね」


ちゃっかり私に意地悪してくるのやめてほしい。

自分でも相当ロマンチストだって分かってる。

でも、いつも通りってつまらないんだ。

それがとても幸せなことに気づいてないなんて言われたらお終いだけど、人はとても強欲なんだ。

現状の気付いていない幸せに満足していられるなら、人は一瞬の幸せの為に行動するなんて出来ないよ。