今宵、真夜中の青を注いで


「楓すごい......」

「いきなりなに? きらきらした目で気持ち悪いんだけど」

「流石楓様、お口が悪い」


思わず思ったことを口にするとべちっと頭を叩かれた。

痛い......。


「そんなことより、ロマンチック雪穂ちゃん」


そんなことよりって、あたしの頭が馬鹿になったらどうするんだ。

楓には関係なくてもあたしにとっては重要事項だということを分かっていない。

それに危うくスルーするとこだったけどあたしそんな名前じゃない。

むーっと口を尖らせて無言の抗議をするも、もうさっき言った言葉は忘れたように話が完全に移行してしまっている。


「ねえねえ、聞いてる? また、断ったらしいよ?」

「断った?」


主語がなくてさっぱり分からない楓の言葉に首を傾げる。

そうすれば、彼女は当たり前の事を聞くなと言うような顔をした。

まったく酷い話だと思う。

自分が日本語使わないから悪いのに。

あたしの言い分は完全無視だなんて扱いが酷過ぎる。



< 4 / 93 >

この作品をシェア

pagetop