今宵、真夜中の青を注いで
惑星を抜いて、星座を作る星としては全天で一番明るい星、シリウス。
そのシリウスのあるおおいぬ座は他に分かりやすい星がないから暗いところじゃないと見失ってしまいそうだ。
見つけたらほんとに犬みたいで可愛い星座なのに。
「でも、こいぬ座はどう頑張っても犬に見えないね」
こいぬ座の星座線はプロキオンとゴメイサを繋いだだけのただの直線......なんて言っちゃダメだよね。
「あー、星座線だけでは絶対想像つかない星座って結構あるからな。でも、悲しいっていうか怖いっていうか、子犬が可哀想なんだ」
「子犬が可哀想?」
「そ、ゴメイサには『微かなもの、涙ぐんでいるもの』って意味があるんだけどさ」
そうしてずっと星空に向けられていた視線がこっちに向けられる。
トクリと心臓の音が一つ聞こえた。
カッコいい人と改めて目が合うと流石に吃驚するものだなと思いながら、夜久君の話に耳を傾ける。
「その意味がギリシア神話を聞くとぴったりなんだよ」