今宵、真夜中の青を注いで
「こいぬ座になったメランポスは狩りの名人、アクタイオンの猟犬の一匹だったんだ。
ある日、アクタイオンは獲物である鹿を追っている間に、連れてきた猟犬たちと逸れて森に迷ってしまう。
そんな時に遠くの方でぼんやり光る灯りを見つけ、人がいると思ったアクアイオンが近づいてみると其処にいたのは月と狩りの女神、アルテミスだった。
これが最悪で、アクタイオンは本当にタイミングが悪かった。丁度その時、アルテミスは水浴びをしていて裸だったんだ。
怒ったアルテミスは『女神の裸を見たと言いふらせるなら、言いふらすがいい』って呪いの言葉を掛けて、アクタイオンを鹿に変えてしまう。
忽ち獲物の匂いを嗅ぎつけてやってきた猟犬達はアクタイオンだと知らずに鹿を食い殺してしまうわけ。
そうとは知らない猟犬達は殺した鹿の前で主人の帰りを待ち続けたんだ。
特にメランポスはお腹がすいても何日も鹿の傍を離れず、とうとう死んでしまう。
それを天で見ていた神々が哀れんで、天に上げて星座にしたんだと。
だから、夜空に浮かぶこいぬ座もずっと涙を浮かべて主人の帰りを待ってるらしいよ」
ずっと涙を浮かべて待っているメランポス。
それが、あのこいぬ座。
なんとなくだけどこいぬ座が見えた気がした。