今宵、真夜中の青を注いで


「メランポス可哀想だね」

「だろー? でも、不可抗力で見てしまったものを怒って呪いを掛けたアルテミスも理不尽。女怖い」

「あはは、確かに。もう少しアルテミスに良心があったらメランポスは帰ることのない主人を待つこともなかったかもしれないのにね」


神話を絡めて見る星座はとても奥が深くて面白い。

夜空を見上げれば煌めく星達は一際輝く星だったり、名前もない暗い星だったり、星によって色も大きさも違う点みたいなもの。

昔の人達はその点を繋いで物語を見出していたんだね。

そんなものは与太話だろうと笑う人がいるかもしれない。

でも、折角綺麗な星空なんだから、楽しみ方が増える方がきっと素敵だ。


「神話って結構酷い話もあるんだね」

「寧ろ酷い話ばっかり。夢壊すようだけどさ、シンデレラとかの童話の原作が本当は怖いように神話も結構怖いし残酷だし悲しいこと多い」

「ええーっ」


夜久君が楽しそうに笑って、まさかのカミングアウトをするから思わず声を上げる。

ほら、昔の人が考える話は全然ロマンチックじゃないね、なんて笑うのも楽しいよ。


 夜久君に教えてもらったこと。

忘れないように、指でプロキオンからゴメイサに向かって刻みつけるように線を引いた。




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