今宵、真夜中の青を注いで
「星の話そんなに楽しい?」
あたしのその姿を見ていたらしい夜久君はいつの間にか隣で座っていて、小さく微笑むように笑う。
声もいつもよりなんだか柔らかく広がるような感じがして、心がくすぐったいような、そわそわするような感じがした。
なに、これ......?
ただ、夜久君に倣って同じように座りなおしている間にそんな疑問はすぐに消えて、あたしは思ったよりとても弾んだ声で夜久君の問いを返していた。
「うんっ、楽しいよ」
「ははっ、ほんと楽しそう。変な奴」
あたしの返事に笑った夜久君はとても嬉しそうに見えた。
なんだかあたしの返事に安心したみたいな、そんな感じ。
「変な奴って酷いなあ。そんなにおかしいことじゃないと思うんだけど」
「ごめんごめん。俺の周りにはそういう奴って珍しいから。特に女は」
「珍しい?」
意味が分からなくて首を傾げると、夜久君は自嘲的な笑みを浮かべる。
「カッコ良いとか頭が良いとか運動神経が良いとか。そういう表面的なステータスに目が眩んで寄ってくる奴が多いってこと。
まあ、それだけならいいんだけどさ。思ってた性格と違うってことに気付くとイメージと違ったってあからさまに態度変えてくるのは流石に気分悪い」