今宵、真夜中の青を注いで
「こわ、くない。全然怖くなんかなくって、寧ろよく笑う人」
優しい笑顔に促されるように答えていた。
まるで魔法みたいだ。
「それなら良いんだよ。俺も碧海と一緒に話してて楽しいわけだし」
いいんだ。
夜久君が言うんだから、少なくとも夜久君に対してはそれでいいんだ。
「それに、それを言うなら俺だって今まで碧海は大人しいやつ、くらいにしか思ってなかったんだ。わざわざそんなこんな風に思ってた、なんて言わなくてもいいだろ。
ましてや、自分も一緒で酷い人だなんて、そう思ってるなら余計に。
碧海はさ、思ったことそのまま嘘偽りなく、俺みたいに口悪くもなく、素直に伝えられる。俺はすげーと思うよ」
夜久君はなんでもないけろっとした顔して、褒めてくれるから困る。
もう友達だと思ってくれてるのかな。
だったらいいな。
「ありがとう。初めてそういうこと言われたかも。嬉しいからあたしからも一つ言わせて。夜久君は間違ってないとあたしは思うよ。
ちゃんと自分の好きなものを大切にしてるんだって思ったもん。自分の好きなものをずっと大切に出来るのはすごいことだよ」