今宵、真夜中の青を注いで
......いいよ?
え、今あたしなんて言ったっけ?
早口で何も考えずに口走ったせいで自分でも何言ったか分かってないなんてばかすぎる。
「怖い目に遭ったら言って。見てるようにはするけど、全てが分かるわけじゃないからな」
そこまで聞いて分かった。
あたし助けてほしいなんて言っちゃったんだ。
なんで了承しちゃうの。
なんでこんな我儘聞いてくれちゃうの。
「あ、えと、迷惑じゃないの?」
「なんで?」
「え、なんでって......」
「俺の取り巻きが原因なのにほっとけるわけないだろ。俺がいいって言ってるんだからいいんだよ。
それに、また一人でなんとかしようとしたらあんたの友達が心配する」
その後に『あれ? これ言ったらだめだって言われたような気がするけどいいか』なんて声聞こえたけどそんなことはどうでもいい。
「友達? って楓?」
楓が心配するってどういうこと?
あたしは誰にも、勿論楓には何も話してないはずだ。
「奥空が『何も言ってこないけど偶に様子がおかしいんだよね。勘なんだけど今日は雪穂にとって厄日になりそうだなと思って』って言ってたから俺が様子に見に来たんだよ」
楓の勘ってなんでこんなに鋭いんだ。
それで律儀に来てくれるなんてまた夜久君は優しいんだから。
心配してくれていた楓にはちゃんと明日ありがとうって言おう。