今宵、真夜中の青を注いで
真剣に考えて動いてくれていたのに、心配掛けたくないって逃げて、あたしは知られたくなかっただけなんだ。
真剣な眼差しを滲ませて、優しく微笑む楓に目から鼻にかけて熱くなるのを感じた。
「うんっ」
それから最近毎日下駄箱に手紙が入っていたこと。
昨日は放課後にも入っていて、先輩の集団に囲まれたこと。
叩かれそうになったところへ夜久君が助けにきてくれたことを掻い摘んで話した。
夜久君への想いはやっぱり話せなかったけど.......。
「そんなことなってたのになんで話さないの!」
話し終えて第一声はお説教だった。
「だって、大丈夫かなって......」
「大丈夫じゃないからこうなってるんでしょ!」
腕を組んでそっぽを向いた楓はとてもご立腹だ。
どうしようかと考えあぐねて、『ごめんなさい』としか言えなかった。
「雪穂はすぐに迷惑掛けたらだめだとかばかなこと言うばかなんだから」
容赦ない物言いの中に楓がどれほど心配していたかが表れている。
「私は何も知らない方がいやだからね」
「ごめんね。心配して、助けてくれてありがとう。楓のおかげで怪我しなかったよ」
一生懸命にごめんねと、ありがとうを伝えると、楓は嬉しそうに笑った。
それからはいつものくだらない楓が仕入れてくる噂話とか他愛もない話をして、久々の朝の通学路を楽しんだ。