今宵、真夜中の青を注いで
「だって、全然話した事ないし、性格分かんないし、顔が良くても性格不細工とかいるし。中身を知って好きになることはあるかもしれないけど近寄りがたい感じがして仲良くなれそうにもないからなあ。顔はとっても好みだけど!」
まさか楓の口からそんなことが聞けるとは......。
最後の一言はイラナイけれど。
「ふーん、その割には詳し過ぎると思うけど」
「えー、普通だよー。寧ろ、雪穂が疎すぎ」
「そうかなあ」
納得いかないあたしに「そうだよ!」と楓は言い切る。
あたしはどうしたらそんな情報がすぐに回ってくるのかの方が不思議なんだけど......。
噂話を教えてもらう相手が楓しかいないあたしには到底理解出来ない。
話の区切りがついてタイミング良く、授業が始まるチャイムが鳴った。
「やばっ、あたし席に戻るね」
「私も戻らないと」
先生も教室に入って来て、あたし達を含め、立っていた全ての人が慌てて席に着く。
また、つまらない授業が始まってしまったとあたしは一つ、溜息をついた。