今宵、真夜中の青を注いで
それから学校へ着くと案の定、昨日の出来事は歪曲を交えて広まっていた。
1週間経ってもその勢いは留まることを知らず、話を聞きつけてきた誰かも分からない人に質問されたりしたけど、何も危害を加えてくる人はいなかったから良かったとしよう。
それはあたし達が去った後、昨日の先輩達がこんな時期に注意を受けて、またこんなことがあったら罰を与えるということも伏せて話が広まったからだと思う。
まあ何はともあれ、一応の平穏は戻ってきた。
ただし、あたしの想いについては何も進展していない。
今はただ、夜久君と一緒にいるのが楽しくてたまらないけど、こんな想いを抱えていたら夜久君に対して失礼なんじゃないかと思ってしまう。
ううん、それを誰かに指摘されるのが怖い。
あの人たちとあたしも一緒でしょって言われるのが怖い。
そうなったら、夜久君と一緒にいられないんじゃないかって思うと怖い。
誤魔化すようにぬるくなったミルクティーを口に含む。
「そう言えば、夜久君に告白しないの?」
それはとてもタイミングが悪かった。
飲み込もうとした時にあたしの心を読んだかのように絶妙なタイミングで楓がその話題をするから、ミルクティーが呼吸器に入って噎せた。
「....げほっ、げほっ、なんでいきなり、そんなこと言うの.......?」
涙目になりながら返すと、楓はけろっとした顔でまた爆弾を落とした。