今宵、真夜中の青を注いで
「あっ、あたしの方は後回しで、夜久君先に言っていいよ」
「いや、碧海が先で良いよ」
「いやいや、大したことじゃないから、ね?」
互いに譲り合っていては埒が明かないと思ったのか、夜久君は『分かった』と頷いた。
それからとても真剣な顔をするから、あたしまで向き直って背筋が伸びた。
何を言われるんだろうと、思わず唾を飲み込む。
「俺さ、女なんてめんどくせーって思ってたから、暫くは恋愛なんていいやって思ってたんだ。
だけど此間、碧海のこと助けにいってから友達にお前がそんなに女に気に掛けるなんて珍しいって言われた。
今までどれだけ女同士で面倒なことやってても無視してきたからさ、友達にとってみればすごく驚くことだったんだろうけど、自分は言われて初めて気付いて吃驚した」
ねえ、待って。
夜久君がこれから言おうとしてることって......。
なんとなく、その言葉の先を予想してしまってパニックになる。
流石にこれは自惚れなんかじゃない、と思いたい。
この先の夜久君の言葉がはっきり聞けないんじゃないかって思うくらい、心臓がどきどきして煩くってたまらない。
「俺は碧海のことが好きなんだ」
一番欲しくてたまらなかった言葉。
でも、絶対にあり得ないと思ってた。
告白しても、今日は振られてもいいと思ってた。
それから頑張ろうと思ってたくらいだったのに......。