猫みたいな君



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『伊藤くん?』

『ん?』

『夏休みにね、私と萌々奈と…佐藤くんで海に行くの。
だから…伊藤くんも行かない?』

『行く』

『ほんと?』

『姫莉の水着姿見れんじゃん』

『…っ//なに言って』

『蒼翔とは俺も仲いいし行くよ』

『楽しみだねっ』

『おう、それに…』

『ん?』

『お前が誘ってくれたのに断る訳ねぇだろ』

『…//』


伊藤くんはどういう気持ちで言ってくれたの?

二人の足音しか聞こえない帰り道に
伊藤くんの声が、些細な一言が、全てが、
耳に、頭に、心に、残って離れない






ギュッ



左手に感じる温もり



そっと左上を見上げてみると
いつもより少し赤くなっている
伊藤くんの顔があった





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