バスケと先輩とファーストキスと。

試合は苦戦していた。
なぜかっていうとーーー


先輩のシュートが今日は
いつもの半分も決まらないからだ。


「田之上先輩、珍しいね。
こんなに調子悪いの見たことないよ。」


ムッちゃんも驚いている。
てゆーか、
何よりも私が驚いてるんですけど……。


先輩、どうしたんだろ？
何か、いつもより焦ってるし、
具合い悪いのかな……。


風邪引いた？


だけど、
今朝貰ったメールには
そんな事、書いてなかったし……。


それでも試合はキャプテンである
谷口先輩の活躍でなんとか
それほど差を開けられる事なく
接戦が続いていた。


けれどーーー
先輩が放つシュートはことごとく
外れてしまい


「遼、もう、打つな」


谷口先輩の厳しい声が
コート内に響き、
体育館の二階から応援している
私達の所まで届いた。


先輩……。


どうしたの？


私、知ってるよ。


みんなは先輩を天才プレイヤーだって
しかもクールなイケメンで
なんでもそつなくこなすって
言うけれど、
違うもん。


本当は人一倍努力して
努力して上手くなってるんだってこと。
クールな顔は照れ隠しなんだってこと。


私は誰よりもそれを
分かってるつもりだよ。


だって、
一番側で見てるんだもん。


先輩の事、ずっと見てるんだもん。


先輩……。


私はスーっと息を大きく吸うと、