きみはいじわる
「秀ちゃん、

 今日は一日目なんだから無理したらダメだよ、

 帰りは迎えに来てもらえるの?」


あたしは椅子を引いて秀ちゃんに座ることを勧めた。


「うるさいっ」


「え」


「うるさいんだよ。

 くっそう、病人扱いしやがって。

 バカかお前!」


「秀ちゃん…

 どうしたの何怒ってる?」


「変だと思わねえのかよ、今日部室に誰も来ないって。」

「みんな幽霊部員だから、けど、発表明日だからそのうち来ると…」

「今日は部活は休みって伝令回ってるの、

 お前以外はね。」

「え?そうだったのか、だから誰も来ないのね」


「お前は!」


秀ちゃんはイライラした様子で


あたしを部屋の隅に追い詰める

「しゅ…秀ちゃん??」


左の肩の上あたりにドンっと

置かれた秀ちゃんの右手が

小刻みに震えてるのがわかった。


「告られてんじゃねえよ。」

「きっ…」

「ああ、聞いてたよ!」

「手を繋ごうとなんかしてんじゃねえよ。」

「みっ…」

「見てたよ!」

部長との会話聞かれてたなんて

しかも見られてたなんて、

また思い出して真っ赤になってしまう








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