察してください
「また手がとまってますよ?」


「水沢くんは付き合ってからも、ほとんど変わらないね。

いつも余裕だし、あたしたち付き合ってないみたい」



水沢くんにボールを渡してから、とうとう言っちゃった。
今まで言いたくても、言えなかったこと。


だって、もう分からないんだよ。
これじゃ、見てただけの頃の方が幸せだったかもしれない。



「そんなことないですよ」

 

そんなことないですよ、だって。
クールぶっちゃってさ。

あたしのことを見もしないで、シュート練習しながら言われても、ちっとも説得力ない。



「そんなことあるよ。

だって、友達は彼氏と手をつないで帰るって言ってたのに、
あたしたちは一回も手もつないだことないもん」
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