元カレ教師~君と出会った物語~


夏休みに入った頃、塾で模試があった。


9月からのクラスが決ま模試で、ここで悪い点数を取ると降格させられる。


逆に言うと、頑張ったら今のクラスに残れるのだ。


「大丈夫だよ。
未来は凄く頑張ってたし、最近調子良くなってきてるじゃん。」


「そうだけど…未来は妃奈と違って、危ない橋を渡っている感じなんだから。
皆も頑張ってる中でなんだから、やっぱり怖いな。
折角今のクラスの子とも仲良くなれたし、妃奈と違うクラスになっちゃったら嫌だ。」


どちらかと言えば、後者の方が本音なのは、妃奈には内緒である。


「あたしも未来とクラスが別れるのは嫌だな。
寂しい。」


「そんな事言ってくれるのは妃奈だけだよ。」


「そんな事ないと思うよ。」


「あるある。
未来は友達とかいないに等しいもん。」


こんなに一緒にいる子は、妃奈が初めてなんだ。


本音で話せる子も、相談出来る子も…15年の歴史の中で妃奈だけ。


「まあ違うクラスになっちゃっても、高校は絶対に妃奈と同じところ行くもんね!」


「そうだね。
あたしも頑張らなきゃ。
そうだ!
模試の結果が返ってきて、2人とも今のクラスに残れたらご飯行こうよ。」


「そうだね!
行こ行こ!!」


この約束をしてから1ヶ月後、未来と妃奈が交わした約束は果たされた。


妃奈は勿論キープして、未来もなんとか残れた。


しかも、ビリ脱出。


だから未来達は、夏休みの終わりにファミレスに行ったの。



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