元カレ教師~君と出会った物語~
ご褒美で行くご飯だから、勉強の話は一切しない事にした。
お互いの中学の話やファッションの話もしたけど、結局は恋バナになった。
最初は未来が話しっぱなしで、妃奈がひたすら聞いてくれた。
でも、未来ばかり話すのはやっぱり良くない。
だから未来は、区切りが良いところで妃奈に聞いたの。
「妃奈は今はどんな感じ?」
言った瞬間、妃奈は目を泳がせた。
もしかして、彼氏と別れたてなのかなって思った。
「言いたくないなら、無理して言わないでいいんだよ。」
「ううん。
言いたくないとかいうより、未来が聞きたくないかもって思って。
重い事言う事になるから、せっかくのご飯が不味くなるかも。」
「そんなの全然平気だよ?
ってか未来が妃奈の話を聞きたくないわけないじゃん。」
「そっか…ありがとう。」
それから、妃奈は少しずつ話してくれた。
妃奈は昔、妃奈のお姉さんである玲奈さんの友達を好きになった事。
その彼と付き合う事が出来て、嬉しかった事。
彼と一緒にいれた時間はとても幸せだった事。
そして…彼との別れが辛くて、今でも彼を思い出すと苦しくなる事。
…確かに、軽い話ではなかった。
でもその重みは、それだけ妃奈が真剣に恋をしていたって証拠だ。
「話してくれてありがとう。」
別れたらすぐにまた彼氏が出来る未来とは正反対の妃奈。
そんな妃奈にだからこそ言えた。
「ううん。
聞いてくれてありがとう。」
その時の妃奈の顔は、話す前よりも幾分柔らかくなっていた。