元カレ教師~君と出会った物語~


ご褒美で行くご飯だから、勉強の話は一切しない事にした。


お互いの中学の話やファッションの話もしたけど、結局は恋バナになった。


最初は未来が話しっぱなしで、妃奈がひたすら聞いてくれた。


でも、未来ばかり話すのはやっぱり良くない。


だから未来は、区切りが良いところで妃奈に聞いたの。


「妃奈は今はどんな感じ?」


言った瞬間、妃奈は目を泳がせた。


もしかして、彼氏と別れたてなのかなって思った。


「言いたくないなら、無理して言わないでいいんだよ。」


「ううん。
言いたくないとかいうより、未来が聞きたくないかもって思って。
重い事言う事になるから、せっかくのご飯が不味くなるかも。」


「そんなの全然平気だよ?
ってか未来が妃奈の話を聞きたくないわけないじゃん。」


「そっか…ありがとう。」


それから、妃奈は少しずつ話してくれた。


妃奈は昔、妃奈のお姉さんである玲奈さんの友達を好きになった事。


その彼と付き合う事が出来て、嬉しかった事。


彼と一緒にいれた時間はとても幸せだった事。


そして…彼との別れが辛くて、今でも彼を思い出すと苦しくなる事。


…確かに、軽い話ではなかった。


でもその重みは、それだけ妃奈が真剣に恋をしていたって証拠だ。


「話してくれてありがとう。」


別れたらすぐにまた彼氏が出来る未来とは正反対の妃奈。


そんな妃奈にだからこそ言えた。


「ううん。
聞いてくれてありがとう。」


その時の妃奈の顔は、話す前よりも幾分柔らかくなっていた。



< 20 / 44 >

この作品をシェア

pagetop