元カレ教師~君と出会った物語~
それから妃奈は、時々元カレの話をしてくれるようになった。
あの日に話してくれた事にどんどん肉付けされていき、妃奈がどんな子なのか更によく知る事が出来た。
同時に、元カレである昴さんがどんな人かもなんとなく分かってきた。
話聞いてるかぎりでは、浮気とか全然しなさそうなのに…人って不思議だなと思う。
いつ、どこで、何が起こるかなんて、本当に予測出来ない。
それは…この塾で未来が妃奈という生涯の友を得た事にも言える。
恋愛以外の話も沢山して、未来達は更に仲良くなっていった。
そうやって妃奈のことを少しずつ知りながら、妃奈も未来のことを少しずつ知りながら、季節は秋になり、あっという間に冬になった。
そしてとうとう春を迎えた。
未来はこの1年、かなり頑張った。
とりあえず、妃奈と同じ高校を受けるぐらいまでの学力にはなり、無事に一緒に受験した。
でも、正直受かる自信はなかったの。
受験会場には妃奈ぐらい頭良さそうな子がいっぱいいて、どうしても萎縮してしまった。
妃奈とは教室違うし、余計に不安だったの。
だから…合格発表である今日なんか、本当にドキドキしている。
晴れ渡った朝の空さえ、未来を慰めてはくれなかった。
妃奈が学校の友達と見に行く事になったから、今日も1人だし。
未来の学校の子なんて、未来が同じ高校を受験した事さえ疑ってるし、大して仲良くないから一緒に行くはずもない。
未来は大きな不安を抱えながら、校門を潜り抜けた。