元カレ教師~君と出会った物語~
なくても不思議でない自分の番号を、未来は必至で探した。
127、127、127…127……
「……あった!!」
未来は誰も知り合いがいなにのに叫んでしまう。
信じられなかった。
人気のあるこの学校に、未来は通える。
その事実が、驚きのあまり上手く飲み込めない。
でも、未来の番号があった事を妃奈に知らせなきゃって思った。
だから未来は急いで妃奈にメールしようとした。
でも、未来が送信ボタンを押す必要はなかった。
「未来!」
妃奈の声がした。
未来は辺りを見回した。
「妃奈!」
妃奈は未来の目の前にいた。
「未来…あたし受かったよ!」
「未来も受かった!
って事は未来、妃奈と同じ制服着れるんだ!」
未来は嬉しくて泣いてしまった。
嬉しい事で泣くのも、友達の前で泣くのも始めてだった。
更に嬉しい事に、妃奈は自分の番号を見た瞬間、未来のことを探してくれたらしい。
未来が朝一で行くって言ってたのを覚えていてくれたみたいで、しかも未来が絶対に受かるって思ってくれてたみたい。
「でも、妃奈が絶対に受かるなら分かるけど、何で未来が受かるって思ったの?
最後の模試だってC判定だったし。」
「だって、未来はあんなに頑張ってたじゃん。
それなのに落ちるわけないもん。」
とびっきりの笑顔で、妃奈はそう言ってくれたんだ。
妃奈は人を喜ばせるの上手すぎだよ。
「妃奈。」
「何?」
「こんな未来ですが、高校生になってからも宜しくお願いします。」
あたしは90度のお辞儀をした。
「こちらこそ宜しくね。」
今度は2人で笑いあえた。
そして、桜が綺麗に咲く数週間後、未来と妃奈は、同じ制服を着て再び会う事になる。
その桜は、未来と妃奈の新たな出会いを祝福していた。