元カレ教師~君と出会った物語~
それからの事はあまりよく覚えていない。
ただ痛くて、そんなあたしを昴は必死になって病院へ連れて行ってくれて、病院に着いたら寝かされて、医者や看護婦さんが沢山いた。
それから気が遠くなる程の長い時間が経った。
その時間の中で感じたのは、もうすぐお腹の子が出てくるという事、ただそれだけだった。
それから本格的にその子が動き出したみたいで、痛みは更に酷いものになった。
看護婦さん達が何か言っているけど、あたしの耳には入ってこなかった。
でも、突然何かが変わった。
痛みも、周りの音も…
「北条さん!
生まれましたよ!
元気な男の子です!!」
そんな声が聞こえたと思ったら、今度は小さな何かが目に入った。
それが、あたしと自分の子供を初めて見た瞬間だった。
その時にあたしは思ったの。
この子はあたしの子供で、昴の子供なんだって。
早く昴に見せたい、否、昴と会ってほしいと心からそう思った。