元カレ教師~君と出会った物語~
━次の日
「名前なんだけど…」
あたしが抱っこしている子を見つめて、昴は言った。
「どうしようか?」
あたしが続きを奪う。
子供の名前は顔を見てから決めようと2人で言っていたので、まだ名前は決まってなかった。
「巡(めぐる)にしないか?」
「巡?」
「ああ。
俺と妃奈って何回も別れて出会って、やっと一緒になれただろ?
それって“巡り合せ”だと思うんだ。
妃奈と俺が巡り会って出来た子だし、この子も俺らみたいに素敵な人と巡り会って、幸せに生きてほしいから。」
良い名前だと思った。
昴と巡り会えたからあたしは今とっても幸せだし、昴の言う通り、そのおかげでこの子…巡に出会えた。
「巡?」
あたしはその名を呼んでみた。
そしたら…
「今、笑ったよな。」
「うん。
パパが付けてくれた素敵な名前だもんね。」
そう言ったら、更に笑顔になった。
「じゃあ、巡な。」
あたしは頷いた。
「これからは3人だね。」
「ああ。
妃奈と巡と俺…育児も仕事も、今まで以上に頑張らないとな。」
「あたしも。」
だってこれからは3人で幸せになるんだもん。
そんなふうに思っていたら、昴があたしの頬にキスをした。
「ごめん。
巡を産んでくれたと思うと、妃奈が余計に愛しき思えて。」